妊娠中・内面の変化

子宮

臨月に入ると赤ちゃんが下がるので、子宮底長の数値も小さくなる

子宮底長とは、恥骨上縁から子宮のいちばん上までの長さで、 臨月に入るころで30〜35cmぐらいが正常範囲とされています。 お産直前には、子宮底長の数値が少し下がりますが、これは、お産が近づいて子宮が柔らかくなるためと、 赤ちゃんが下がることが原因です。 お産間近になって、それので圧迫されていた胃が元の状態に戻り、 急に食欲が出てくる人がいるのは、このせいです。

産後6〜8週間ぐらいで元の状態に

お産直後には、子宮の大きさはちょうど、生まれた赤ちゃんの他天と同じくらいか、 それより少し大きいぐらいの大きさになります。その後、完全に元の状態に戻るまでには 6〜8週間ぐらいかかります。産後、お母さんのための健診は産後6週で行うことが望ましく、 そこで子宮の戻り具合をチェックします。 母乳の場合、母乳を飲ませることが子宮収縮を促すので、 ほとんどがきちんと戻るようです。母乳でない場合や、子宮の戻り具合が極端に悪い場合は、 短期間、子宮収縮剤を処方することがあります。

産後、1〜2日は収縮による痛み(後陣痛)を感じる人も多いですが、 その後、少しずつ戻っていくので、特に自覚症状はありません。

血液

妊娠中は水っぽく、貧血になりやすい。お産が近づくと固まりやすい血液に

妊娠すると、血液量がそれまでと比較して1.3〜1.4倍に増えます。 ただ、量が増えると言っても、血液の組成や濃度が妊娠前と同じ状態のまま増えるわけではありません。 例えば2人分しかシチューのないところに来客があったとします。 手っ取り早く3人分にするために、水を足しますね。体内でもこれと同じことが起こっているのです。 簡単に言えば、体が血液量を増やすために、水分を多く血管内に取り込んだため、赤血球や白血球などの血液成分よりも ミズノ比率が多く、血液が水っぽい状態に成っています。 これには水っぽいさらさらした血液の方が、濃いドロッとした血液よりも、 胎盤内をスムーズに循環しやすいという利点もあります。 ただ、血液が薄いことで、妊娠中は水血症という生理的な貧血を起こしやすくなります。

血液の量は、妊娠が進むにつれ、少しずつ増えていき、妊娠後期の8〜9ヶ月ごろが、 最も体内の血液量が多く、臨月になると、その量が若干減ります。 ただ、血液のうちでも赤血球や白血球などの血球成分の量は臨月でも増えていて、 血しょう成分(液体部分)のみ減少しているので、臨月になると、少し血が濃くなるという現象が起きるのです。

妊娠中に増えた血液が、産後急激に減少。血圧が上がることもある

最終的に妊娠中には1200cc〜1300ccの血液が増加します。 お産が終わるとこれが急激に減って、次第に元に戻っていくのです。

分娩の出血で、増加した分のおよそ三分の一が減ります。それでも通常より多い血液が胎盤を循環する必要がなくなって、 すべて母体に戻ってくるため、血圧が上がってしまったり、気分が悪くなったりすることがあるのです。 しかしこれは一時的なものですから、心配はありません。血液量が妊娠前と同じように戻るころには、 血圧も元通りに下がってくるでしょう。

食欲

お産直前、子宮が下がると急に空腹感を感じるし人も多い

妊娠後半になって子宮が大きくなると、胃や横隔膜が圧迫され、 容積がふだんの三分の二ほどになってしまいます。 そのため、少し食べただけでムカムカしたり、一度にたくさん食べ過ぎると消化不良を起こしやすくなります。 しかし、お産直前になり、赤ちゃんが子宮の下の方に下がってくると、 それまで圧迫されていた胃の状態が元に戻るため、急に空腹感を感じ、食欲が出る人も多いようです。

お産直後は、「生んでからすぐに食べられる」という人は少ないようです。 お産は殆どのお母さんにとって、大変疲れるものですし、特にお産直後は「やった!生まれた!」という達成感や虚脱感、 または興奮状態にあり、それがおさまってから、次第に食欲が出てくるようです。

産後は、たいていの人は食欲旺盛に。母乳のママは特におなかが空く

産後は、たいていの人はお産への不安な気持ちから解放され、 赤ちゃん誕生の喜びとともに食欲旺盛になるようです。 特に、母乳をあげている人は、母体の体力を使い、エネルギーを必要とする行為なので、 とてもおなかが空くようです。まだ産後間もなくは、夜中でも頻繁に起きるので、 長い時間起きていることが多くなり、そのせいでおなかが空く人もいます。

一方、中には極度の疲労や、初めての育児への不安などが原因で、 食欲があまりない人もいるようです。そう言う人は、まずその「原因」を探し、 十分に休養したり、周囲の協力を得て不安感を解消しましょう。

睡眠

まとめて眠れなくても、こまめに休養して体を休め、疲れをためない

お産直前になると、大きなおなかで寝苦しくなったり、前駆陣痛が気になったりして安眠できない人も多いようです。 いよいよ近づいてきたお産への不安やプレッシャーで、眠れなくなるという人もいるかもしれません。

そのような場合は、なるべくリラックスしてお産への良いイメージを持つことを心がけましょう。 「もうすぐお産だ、恐いな」と考えるのではなく、「もうすぐお産だ。そうしたら赤ちゃんに会える」と、 お産の楽しいイメージを思い浮かべるのです。

お産直前、直後は、精神的にも、肉体的にもストレスを感じる時期です。まとめて眠れないときは、 起きている時間にもできるだけ体を休めたり、昼寝などで睡眠をとるようにして、 疲れをためないようにしましょう。

特にお産の直後は体調も戻っていませんし、昼夜関係なく赤ちゃんのお世話をしなくてはなりません。 寝不足では心も体もまいってしまいます。周囲の人に協力してもらうなどして、 無理をしないようにすることが大切です。 また、赤ちゃんが眠っているときなど、眠れるときには昼間でも、 睡眠をとるようにするといいでしょう。

腰痛・肩こり

お産が原因で悪化することも

前に述べたように、妊娠中は姿勢の変化や血行不良が原因で、腰痛や肩こりが起こりやすいものですが、 お産を挟んでその直前と直後は、特に悪化しやすい時期と言えるでしょう。 なぜならば、お産直前は大きなおなかのせいで姿勢は悪くなりますし、 おなかが大きくて動きにくく、運動不足にもなりがちです。 産後には姿勢は改善されますが、運動不足の状態はしばらく続きます。

また、お産そのものによっても、腰に大きな負担がかかり、産後、腰痛がひどくなることもあります。 特に、仰向けの姿勢での出産は、赤ちゃんを出しやすい、医師が医療処置をしやすい等の理由で、 多くの産院で行われていますが、腰への負担はあると言えます。 腰痛がひどい人の場合は、横向きなど、仰向け以外の姿勢のほうが、楽なことが多いようです。 できるなら、お産が始まってからは、産む直前まで、自分の楽な姿勢で過ごせることが理想的でしょう。

お産は全身運動。腰痛以外にもトラブル発生の可能性も

出産は全身を使う運動です。特に初産婦さんの場合、長時間かかることが多く、 うまくリラックスできず、体の変な所に力が入ってしまうと、腰痛や肩こりだけではなく、 全身に筋肉痛を起こすこともあります。 まれに、お産で恥骨がゆるみ、産後に痛みを感じる人もいます。

初めてのお産で緊張したり、痛みが強くて体に力が入ってしまうこともあるかもしれませんが、 いきみが必要になる時までは、できるだけリラックスして、体の力を抜いて過ごせるようにしましょう。

大きなおなかによる姿勢の変化や、血行不良などは、赤ちゃんを産んだ後は元に戻るので、 それが原因である腰痛のほとんどは、産後は改善されるでしょう。

トラブル

貧血

お産直前には、状態が変わらないか、もしくは悪化することはあっても、 出産前に症状が改善されることは少ないでしょう。 産後、血液の循環量や濃度が妊娠前の状態に戻れば、貧血は治りますが、 出産で大量の出血があった場合は、お産直後に貧血になる人もいます。 その際、輸血が必要になるほどの大量出血が起こることはまれですが、 妊娠中に貧血と診断された時に処方される鉄剤を、短期間飲むように指示されることはあります。

便秘・痔

妊娠中は、胃が圧迫されることで消化不良が起こりやすくなったり、 ホルモンの影響で兆の働きが悪くなることで、便秘や痔になりやすく、 お産直前でもその状態が続く人がほとんどです。 しかし、出産した後は、腸の働きも元の状態に戻り、血液循環も良くなるため、 便通が良くなり、それに伴い、痔の症状も少しずつ改善されるでしょう。

尿漏れ

妊娠後期になると、大きくなった子宮に膀胱が圧迫されることによって、 尿漏れが起きる人も多いようです。 これは、妊娠後期から出産直前までは、変わらずに起こりやすいと言えるでしょう。 産後は、子宮による圧迫はなくなりますが、出産の影響で膀胱や尿道の筋肉が緩んでしまうことがあり、 なかなか改善されないケースもあります。 その場合は産婦人科で相談してみましょう。

妊娠中毒症

妊娠中毒症の多くは、妊娠後期(7〜8ヶ月ごろ)に発症します。 臨月まで何の症状もなく、お産直前になって突然発症することはほとんどないと言えるでしょう。 ただし、妊娠後期から中毒症状気味だった人で、お産直前になって 症状が急激に悪化する例はあります。 特に、もうすぐ出産だからと気が緩んで食べ過ぎたり、 今のうちにと急に家の大掃除をするなど、 バタバタ動き回るようなことはよくありません。 妊娠中毒症(気味)と診断されたら、出産がすむまでなるべく安静にし、 塩分を控えるなどの食事制限を続けましょう。

「妊娠中毒症の最大の治療は妊娠の終了」と言われるように、産後はほとんどが改善されます。 しかし、中には症状が残ることもあり、その場合は、 妊娠中毒症の後遺症である可能性とともに、もともと高血圧や腎臓病などの要因がある可能性もあります。 原因と症状をよく調べた上で、引き続き、妊娠中と同様の治療を受けることになります。

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